骨粗しょう症とは

骨粗しょう症のイメージ画像

骨粗しょう症を一口に言うと骨が折れやすくなる病気になります。骨に含まれるカルシウムなどの量を骨量と言います。これが何かしらの原因によって減少するようになると骨強度は弱まるなどして骨折しやすくなっていくわけですが(骨粗しょう症を発症)、折れやすくなっている状態の骨が、まるで鬆(す)が入っているかのようにスカスカしていることから骨粗しょう症(骨粗鬆症)と名付けられるようになりました。女性の患者数が圧倒的に多いのも特徴で、80歳以上の女性では、およそ半数の方が発症しているのではないかと言われています。

同疾患は、原発性骨粗しょう症と続発性骨粗しょう症に分類されます。前者(原発性骨粗しょう症)は、加齢や閉経がきっかけとなって起きるタイプです。女性は閉経を迎える(日本人女性の平均閉経年齢は50.5歳)とエストロゲン(女性ホルモンの一種)が急激に減少するようになります。なおエストロゲンには、骨の新陳代謝によって引き起こされる骨吸収(骨を壊す働きをする)を抑制する働きがあるのですが、これが圧倒的に不足すると骨吸収は進行しやすくなって、骨形成(骨をつくる働き)が追い付かなくなります。この状態が閉経後骨粗しょう症です。また、女性でも男性でも人は年を経るごとに骨リモデリング(骨が吸収され、新しい骨を形成していくサイクル)のスピードが遅くなっていくのですが、これに伴って骨形成のスピードも低下するようになります。この一連の流れによって、骨が折れやすくなる状態を老人性骨粗しょう症と言います。ちなみに日本人の全骨粗しょう症患者さんの9割程度が原発性で、その大半は閉経後骨粗しょう症か老人性骨粗しょう症ですが、その他にも日頃からの不摂生な生活習慣、無理なダイエットをきっかけとして発症するタイプも原発性骨粗しょう症に含まれます。

また続発性骨粗しょう症は、原因が特定しているタイプで、何らかの病気(糖尿病、動脈硬化、バセドウ病や橋本病などの甲状腺疾患、関節リウマチ 等)や薬剤の使用(ステロイドの長期投与、抗うつ薬 等)といったことによって発症するようになります。

症状について

主な症状ですが、骨粗しょう症は骨量が減少していくという過程において自覚症状がみられることはありません。そのため、転倒の際に手を付いて、容易に手首を骨折した際などに初めて気づくという患者さんもよく見受けられます。なお骨粗しょう症の発症によって、骨折しやすくなる部位は、太ももの付け根(大腿骨頚部)、手首、背骨、肋骨、骨盤、上腕骨頚部、脛骨です。ちなみに大腿骨頚部を骨折すると寝たきりのきっかけになりやすいので要注意です。また、骨粗しょう症が進行し、背骨が体の重みに耐えきれず圧迫骨折をすることがあります。その際に腰痛や背中が丸くなるなどの症状がみられることもあります。

検査について

患者さんの訴えや症状などから骨粗しょう症が疑われる際に行われる、診断をつけるための検査でよく行われるのが骨量を計測していく骨密度検査です。ただ、骨密度検査と言いましても、その方法というのはいくつかあります。その中でもよく取り入れられているのが、DXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)です。これは、高低2種類のX線によって骨密度を測定していく検査法です。全身を計測することも可能ですが、多くは腰椎と大腿骨近位部で測定していきます。

判定方法に関してですが、脆弱性骨折(少しの外力で生じる骨折)があるとされている方でYAM(若年成人平均値:腰椎は20~44歳、大腿骨近位部は20代の骨密度の平均値)の値が80%以下、また脆弱性骨折がないとされる方で、YAM値が70%以下という数値が確認されると、骨粗しょう症(原発性)と診断されます。

また骨密度検査以外にも、血液検査で基礎疾患の有無を調べる、X線撮影(レントゲン検査)によって圧迫骨折の有無を確認するといった検査も行っていきます。

治療について

骨粗しょう症は、骨の生活習慣病とも呼ばれる病気でもあります。そのため、食生活や運動など日頃の生活を見直す必要もあります。食事面では、カルシウム(1日:800mg)、ビタミンD(1日:400~800IU)、ビタミンK(1日:250~300μg)が含まれた食品などを積極的にとるようにします。また骨に適度な負荷をかけることは、骨を丈夫にさせるので運動も取り入れます。内容としては、息がやや上がる程度の軽度なジョギングを1回30分程度で充分ですが、できるだけ毎日行うようにしてください。併せて、転倒防止のための筋トレや体幹を鍛えるための運動もしていきます。

またこれらに併せて薬物療法も始めます。よく使用されるのは、骨吸収を抑制する薬(ビスホスホネート、SERM(選択的エストロゲン受容体作働薬)、抗RANKL抗体製剤 等)、骨形成を促進させる薬(PTH製剤 等)、両方の作用を併せ持つ薬(抗スクレロスチン抗体製剤)ですが、補助的にビタミンD製剤やカルシウム製剤を用いることもあります。

ちなみに続発性骨粗しょう症の患者さんで、特定の病気によって引き起こされている場合は、その病気に対する治療が優先になります。薬剤の使用が原因であれば、その薬の使用を中止、または減量するなどしていきます。